GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

パワー、スピード、タクティクス

ジャンプ購読を止めてからもコミックスで読んでいたアイシールド21が、37巻で堂々の完結。コミックスが出てるくらいだし、もう、ネタバレしても…いいよね…?

元々絵がすげー上手いから興味を惹かれたんですが、村田雄介は描いてる間にもどんどん上手くなってた。5年後や10年後は描けても、2年後のキャラクターを違和感無く描けるっつーのは本当に凄いことだと思います。こんだけ描けたら絵描くの楽しいだろうなー。

最後までワクワクさせる中だるみの無いシナリオも秀逸。オールスターとか言い出した時は引き伸ばし策かと思いましたが、「最強チームを持ってしてもなお超えられない壁」を描くための必然的な話でした。勿論漫画的な誇張は沢山ありますが、結局アイシールドは全編を通し「持たざる者がそれでも足掻く」というお話だった印象があります。まぁスポーツってのは常に頂点以外は「持たざる者」になるわけで。

試合毎に敵が強くなる割に「インフレ具合」が顕著でなく、序盤で負けた王城もちゃんと強い戦力として描かれる。最初一度読んだ時は3兄弟はその後もノータッチかーと思ったけど、よく見たら最終話に出てきてた。どのキャラクターも大事にされてるのがよく分かり好感が持てます。特にジャンプでは珍しいことだと思う。

最終巻の感想としては、葉柱は予想もしなかったしズルいだろう。ちょっと泣いちゃったぜ。それ以外でも雲水みたいに、最終巻にもなってまだ脇役のエピソードが挟まる。その後の話も上手すぎるぜ。というかこんだけ長いことやってたけど、実際はこの上に更にプロがいるわけで。最強の敵として登場したペンタグラムですら、パンサー以外は(この時点で)プロになれてない。実際アメリカの国民的スポーツであるアメフトは、そんくらい層が厚いんだろうなぁ。

この漫画で興味を持って実際のアメフトも(テレビで)見てみましたが、ルール分かってるとありゃー面白いわ。作中でも語られるようにすげー偏った分野の才能が並んでいて、それが作戦の上でガチっとハマって動く。かと思うと作戦を超えた個人技があちこちで炸裂する。これは人気あるのも分かる。

進行中は楽しく読んでいても、完結すると興味無くなっちゃう漫画は多いんですが、アイシールドは手放せない。絵的にもお話的にも完成度が高過ぎる。たまに引っ張り出して読みたい漫画となりました。