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満つらざるとも屈せず

サガスカ開封

SaGa SCARLET GRACE(サガスカ)所感。

 

20時間くらい遊んで、まだ終わりは見えないけど、現時点での感想など。

 

本作はサガシリーズの最新作。サガと言えば独特なシステムが特徴で、アンリミテッドサガ辺りは独自性が行き過ぎてしまった感もありますが、本作もやはり他のRPGとは一線を画す手触りとなっています。

 

まず、フィールドマップが広い。で、街とかダンジョンとかモンスターとか人とかがフィールドマップにいるわけですが、これらはあくまで「イベントアイコン」という扱い。例えばダンジョンやモンスターなら戦闘が起こる、人なら会話、街はほぼ鍛冶屋があるだけ。街やダンジョンはマップすら無い、文字通りのアイコンです。

 

それぞれの場所では会話やイベントも起こりますが、これもまたサガ独特の「多くを語らない」イベントなので、物語は割と淡々と進みます。「仲間にしますか?」でいいえを選んだらもうその人は二度と出てこないし、「戦いますか?」でいいえを選んだボスとはもう戦えない。何が正解か?これでイベントは終わりなのか?曖昧なままにストーリーは進行します。

 

ある場所で「資材が欲しい」と頼んだら「希少な素材沢山と交換だ」と返され、選択肢が「払う/奪い取る」でキャンセルも出来ず、「サガだなぁ…」と思いました。

 

というようにストーリーラインは結構淡泊なのですが、本作の神髄は戦闘にあります。随時追加されていくTIPSの9割以上が戦闘に関することな辺りで、その比重は想像してもらえるかと思います。

 

まず、本作には「○連打で勝てる」という戦闘は一つも存在しません。敵の強弱はありますが、後述する連撃の仕様もあって弱い敵が相手でもきちんと考えて攻撃する必要があります。事故った時のみるみるパーティが壊滅していく様はある種笑えるほど。

 

戦闘では敵味方ともターン毎に徐々に増加する「BP」を消費することで行動します。なのでターンが進む毎に大技が入り乱れることになります。基本的には戦闘に関する殆どの情報は明示されます。敵の大まかな強さ、構成、敵味方混合の行動順、敵の行動まで。これに「打撃属性に割り込む攻撃」「別の味方を庇う行動」「順番を後ろに押し出す攻撃」など多数の要素が絡み、これらの結果を頭の中で組み立てながら行動を決定します。

 

これに「連撃」の要素が絡み、状況はより複雑になります。連撃は「誰かが倒れることで順番が詰まり、結果味方同士が隣り合わせになると発動する強力な攻撃」です。例えば自パーティをアルファベット、敵を数字としたときに「1AB2C」という行動順で、2を倒すとABCが接するので、三人での連撃が発動する、という感じです。連撃は単純な攻撃力の大きさ以外に「次ターンの消費BPが減少する」という効果もあり、基本的にはメリットしかないため積極的に狙った方がよい、のですが。

 

連撃は「敵パーティも使える」「連撃の連鎖がある」ことで、組み立て方を間違えると一気に壊滅ということがあり得ます。例えば「1A234B5C」という並びの時に、3を倒してしまうと、24での連撃が発生します。これでBが倒されたりすると、更に245での連撃。運悪く更にAがやられると1245での連撃がCを襲います。

 

上記要素に更にサガお馴染みの「ひらめき」や、特定条件時に確率で発生する強力な「恩寵」などのランダム要素も絡み、戦闘は予測と計算の連続となります。色んなレビューとかで言われてるけど、ダンジョン内部が存在しないことについて、この戦闘の重さで長いダンジョンとか考えただけで気疲れする。無くて正解。

 

ということでバトルはかなり戦術的なんですが、意外と遊びやすいのよね。要素が多いのですが各要素自体はシンプルなため、「打撃カウンターで待ってるから射撃でキャンセルだ」みたいに一つ一つの対応もシンプル、その積み重ねで複雑な戦闘が出来てるから、かなーと思います。

 

あと戦闘が重たい分他の要素が相当削ぎ落とされていて、ランダムエンカウントは無くて戦う敵の情報は事前に見えるとか、戦闘するしないも大体選べるとか、パラメータが成長しない(成長は習熟度+装備の強さのみ)とか、お金すら存在しないとか。毎戦闘後に全回復するのもそうだし、事故が多い戦闘を考慮してかデスペナがかなり緩く、リトライしやすいのもいいね。

 

ということで、淡泊なストーリーラインと骨太な戦闘、それを見越した事前の大量の情報開示によって、「ササっと移動して頭を捻る戦闘を行う」というプレイ感が出来上がります。このプレイスタイルの邪魔になる物は大胆にカットしてあるため、プレイヤーはとにかくこのことだけ考えればいい様になっています。

 

私はやったことないですが、これはたぶんTRPGっぽいんだと思います。TRPGっぽいというとアンリミテッドサガを思い出しますが、本作はその(アンサガっぽい)見た目とは裏腹に非常に遊びやすいゲームに仕上がっています。