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満つらざるとも屈せず

戦ヴァルクリア

戦場のヴァルキュリア、クリア。

 

プレイ時間26時間半。

 

本作はSEGAの戦術シミュレーション。世界観としては世界大戦辺りのヨーロッパがベースで、基本は戦車戦。「ラグナイト」という鉱物があって、これは機械の動力になり、爆発物にもなり、傷の回復も可能の万能鉱物なので、これを巡って各国が争っています。またラグナイト使用時は冷却が必要なため、堅い装甲で覆われた戦車もラグナイト部だけは露出していて、これを攻撃されると弱い。世界観のベースで、争いの種で、青光りする視認性の良い弱点で、絵的な見栄えもいい、正に万能の存在です。

 

資源を持つ故に戦場となる小国ガリア、圧倒的な軍事力で攻めてくる帝国、動員される若者たち、人種問題も絡んで語られるストーリーは、しかしあまり複雑にはならず王道の展開。軍事大国相手に主人公の属する小隊は連戦連勝、敵も味方も嫌な奴は大体死ぬ。帝国の兵器がどんどんデカくなっていくのは笑った。最後の名前については、気持ちは分からんでもないけどそれほんとにやるのか、とは思いました。

 

また主人公の小隊に参加する大多数の兵士はストーリーには絡まないいわゆる「モブ」なのですが、その全員に顔名前とバックストーリーと人間関係、特性が設定されています。「○○と仲がいい」「男嫌い」「田舎育ち」「仲間思い」など特性はキャラ付に留まらず、実際にそのキャラと一緒に運用するとステータスが上下したり、土を踏むと能力が上がったり、一番最後に行動させるとプレッシャーで弱くなったりとゲーム中にも反映されます。また生い立ち、参加した理由や戦争後のストーリーも簡単ですが語られて、たんなるモブでなくそれぞれが一人の人間としてきちんと描かれています。

 


ゲームとしてはターン制のシミュレーションゲームで、規模感はファイアーエムブレムを想像すると大体合ってる。移動力が高く索敵に長けた偵察兵、打たれ強く攻撃力が高い突撃兵、戦車に大きなダメージを与えられる対戦車兵などの各兵種と戦車を特性に合わせて運用し、様々な戦場を転戦して行きます。ただ行動力がユニット毎ではなく陣営に付与される(同ユニットを何回も動かせる)ことと、行動時はアクションっぽくなる(射線に入ると敵が撃ってくる)のが特徴。

 

アクション部分が3Dアクションっぽいので細かく立ち位置を合わせにくいのと、射撃の精度、特性の発動、敵のリアクションや行動まで不確定要素が多くカッチリ組み立てるのは難しいのですが、どこでもセーブ&ロードが可能なので、気に入らなかったらロードして最高の結果が出るまでやり直すことも可能です。まぁこのファジーさも併せて結果として受け入れた方がゲームとしては面白いと思いますが。私はセーブロードしてました。

 

で、「各兵種を運用」と書いたのですが、最終的には偵察兵無双になりました。多様な戦場がありますが評価基準は経過ターン数だけなので、大抵のマップでは「1コストでどれだけ移動出来るか」がかなり重要になります。また同ユニットを何度も行動させられる(段々移動力が落ちるけど)ので、移動力のある偵察兵はその気になれば1ターンでかなり遠くまで到達出来ます。唯一の弱点である火力不足も、フリー戦闘の偵察兵チャレンジ(PS3版ではDLCだったらしい)で高火力の銃が(頑張れば)序盤から手に入り、これがあればしゃがんでる敵(防御力が上がる)もその辺の戦車も一発。ヒロインでもある偵察兵アリシアは終盤手に入る特性で正に無敵の兵士となるので、最後の方は偵察兵以外の兵種は本当に必要なシーン以外では出撃もさせなくなっていました。

 


ゲームバランスは大味なところもありましたが、続きが気になるストーリーと魅力的なキャラクター、バリエーション豊かな戦場と遊びやすいゲーム部分の手触りもあり、全く中だるみせずに最後まで遊べました。こんなにちゃんとゲームやったの久しぶりな気がします。水彩画調の描画表現は今見ても目新しく、PS3ローンチ当時に出たオリジナル版が今でも評判いいのも頷ける出来栄えでした。

 

一周やったら止めようと思っていたのですが、まだこの世界に居たい気持ちもあるし、まだやれることがありそうなので、もうちょっと遊んでみようかな。