塊を転がして物を巻き込み、段々と大きくしていくゲームです。
ルールは至ってシンプル。
巻き込めるのは自分(の塊)より小さな物だけ。
塊は物を巻き込む毎に段々と大きくなる。
制限時間内にできるだけ大きい塊を作れ!
ゲームデザインが余りにも完璧に構成されていて、美しさすら感じる仕上がりです。
ゲームの構成上画面には沢山のポリゴン表示が想定されるわけで、
オブジェクト一つ一つはシンプルを通り越して箱状の作り。
しかしそれが手抜きではなく「狙ってやりました!」に見える。や、狙ったんでしょうけど。
最初は「壁」であり「乗り越える地形」だったオブジェクトが、自分が大きくなるに従って
「巻き込み対象」に変化し、それに伴って地形が動的に変わっていきます。
ステージにもよりますが巻き込めるサイズには際限がなく、
消しゴムから始まり、人間、犬、象、車、そして最終的には
「島」「虹」「台風」をすら巻き込めます。
音楽は「塊」という一言をキーワードに集められたアーティスト達の競演。
ジャンルもノリも全然違うのですが面白い音楽が揃っています。
しかも、ジャンルもノリも全然違うのに不思議と統一感があります。なんでだろう。
「大きい塊を作れ」に始まり、特定のサイズの塊を作れ、
できるだけ大きな熊を巻き込め、カニを集めて来い、女の子を集めて来い(w)など、
「転がしてくっつける」だけのコンセプトに様々なゲーム性を付加しています。
(ちなみにオブジェクトは巻き込むと声を出すので、女の子をガンガン巻き込むと正に阿鼻叫喚w)
最初は画鋲をチマチマ集めていた自分が、
段々大きくなって街を蹂躙するに至った時のカタルシスも相当な物です。
ただ転がすだけでここまでの爽快感を感じるとは思いませんでした。
雰囲気を伝えるためにSSを撮ってみました。同じステージの同じ場所でのSSです(1,5枚目は違う場所)。
時間経過と共にこれだけ変わるということが分かってもらえると思います。
エンディングでは松崎しげるの歌にあわせて「地球上の国を巻き込む」演出もあり、
「世界は丸い」を地で行っています。
雑多で一見整合性の無い要素達ですが、これが「塊」という芯でキッチリ揃えられているところが凄い。
「塊が段々大きくなる」というだけの要素が必然的にゲーム性を生み出していて、
もちろんゲームデザインは練りに練ったものだと思いますが、
「コンセプトを思いついた時点で勝ちが決まっていた」という感じすらします。
コンセプト先行のゲームは内容が伴わなかったり、
コンセプトの実現を優先する余りゲームとして破綻してしまったりするものですが、
本作はゲームとしても秀逸な仕上がり。
フィールドの規模を変えるだけで地形もオブジェクトも攻略法も全然変わってしまいます。
コンセプト、ゲーム性、爽快感を並立できている数少ない好例です。
べた褒めですが当然悪いところがないわけではなく、
・狭いところでは見通しが非常に悪くなりストレスがたまる
・家の中でふすまを巻き込むくらい大きくなると何も見えない(視点が屋根の上になる)
&引っかかって動けない
・できるだけ大きな牛や熊を一頭だけ巻き込むステージで、
極小さい熊が見えず、知らない間に引っ掛けて終わってしまう
など、操作、視点関係の問題が目立ちました。
まぁゲームの仕様上ある程度仕方ないのも事実なのですが。
とりとめ無く書いてきましたが、
ゲーム性、キャラクター、雰囲気、音楽までがなるべくしてこうなったという、
これ以外にはありえなかったという必然感に溢れていて感動してしまいました。
最近は人に「なんか面白いゲーム無い?」と聞かれたら必ず本作を挙げています。
「私にとって面白い」ゲームは他にいくらでもありますが、
老若男女問わず楽しめるゲームはそれほど数が無いからです。
ちなみに2人プレイもあるのですが、正直あんまり面白くありませんでした。
いがみ合うゲームではないし、本編にも絡まないし、これは蛇足だった気がします。
余談ですが、ソフトを購入した後で予約特典でストラップが貰えた事に気付き、
もう一本買う勢いで探したのですが、特典どころかソフトそのものがほぼ売り切れ。あぁ…王子…。
…と思ったら、知人が「付いてたからあげようか?」くれ!気が変わる前にくれ!
ということで無事王子をゲットできました。ありがとうございます!くれた人!