株トレーダー瞬、感想。
ゲーム内容としては、「逆転裁判」に近いアドベンチャー+特殊バトル(法廷)の形。若干アドベンチャーは薄めかな。バトルは当然「トレード」です。基本的にはグネグネとうねるチャートを見ながら株式の売買をして利益を出すのが目的となります。チャートの時間軸進行がかなり早い(1日が2秒くらい)ため、リアルタイムかつスピーディなゲームとなっています。
最初は「TOPIX」「移動平均線」「PER、PBR」「ランダムウォーク」など基本的な株用語の解説から始まり、「頭とシッポはくれてやれ」のような株格言も出てきて真面目な立ち上がり。しかし誰かと1on1で儲けを競う「バーサストレード」が出てきた辺りで雲行きが怪しくなり、遂に必殺技「トレーディングアーツ(以下TA)」が登場するに至って当ゲームは「真面目な株勉強ゲーム」から「ジャンプ型株バトルゲーム」にクラスチェンジ。まぁ知ってて買ったんですけど。
ということで本作は基本的に、相手と対戦する「バーサストレード」がメインとなります。ルールも多様で、単純に相手より儲ければ勝ちというルールから、8連続で利確したら勝ち、相手の精神を折ったら勝ち、買い(売り)のみで儲けないといけない、銘柄が固定される、より損をした方が勝ち(笑)など。
ゲーム中には「精神力」というパラメータがあって、まぁ他のゲームで言うHPみたいなものですが、儲かっていると徐々に回復、損していると徐々に減少、また相手が利確するとその金額に応じてダメージを受け、ゼロになると一定時間ダウンしてしまう(精神が折れる)という要素もありますw
TAも様々な物があり、買い煽り、売り煽りなど現実的(?)な物から、相手の持ち株を強制決済させる、相手の持ち株を全部空売りに反転させる、株価を特定の数字にする(!)など、そりゃねーだろというものまで。中でもちょっと笑ってしまったのが、精神力へのダメージを無効化する、その名も「想定の範囲内」。
全64種類ある銘柄は現実のどっかの企業をイメージしているようで、ゲーム会社「天王堂」やら運送会社「シロイヌ運送」などなど。お菓子の会社は2月に高騰したり、それぞれ金額や値動きに特徴があるのですが、「個人投資家に人気」とか言われてもどんな株だかわからねー。
本作はこのようなはっちゃけたシステム上で、18歳の主人公がライバルたちを(株で)打ち倒し、成長していくうちに世界の真実に近づく物語です。株には世界の本質がある!
と、派手な面ばかり書いてきましたが、株取引という視点からは相当真面目に作られています。チャートの、時にランダム、時に意思を持っているような「ランダムウォーク」な動き。まだ上がる、もっと行けると保持しているうちに暴落した時の絶望感。売った直後に「新技術開発」のニュースで高騰など、あ~株ってこういうもんだなと思わされます。ゲーム中で「株で儲かるのは全体の10%」と言われますが、それも納得。買ったことないけど。
突き詰めると、グネグネ動く矢印に合わせて買い、売りを入力するだけなのですが、それをゲームとしてここまで昇華したことは実にお見事。矢印見て売買してるだけ、なのに面白い。
株関連のゲームとしては他にコナミからカブトレというのも出ていて、こちらは株のお勉強に特化したっぽい構成。続編も出てるからそこそこ売れたんだと思います。株に興味ある人というのはやっぱり儲けたい人が多いわけで、「瞬」はそういう人には向かないけど、そこに「ゲーム」を求めるなら、まず面白く、ちょっと勉強も出来る本作はとてもマッチすると思うのです。「利確!」って叫びながらトレードするゲームなんて、そうはない。