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満つらざるとも屈せず

モンハンと噂

モンハンがその製作過程で最も意図した物は「噂」なんじゃないかと思った。


モンハンはダメージ計算に非常に複雑な式を使っていて、武器の種類、その威力、切れ味、会心率、属性攻撃力、攻撃部位、その肉質、スキルなど、様々な要素が絡み、何も知らずにこの数式を導き出すことはまず不可能と言える。

モンスターにはその部位ごとに弱点が存在するが、これも弱点属性で攻撃しても特別な演出は無く、「どれが弱点だ」と情報なしで看破することは難しい。

攻略本やWebで数式が見られてなお、どの武器が最適解かを判断するのが難しいくらいだ。

武器だけではなく、モンスターの行動に於いても、現在ハンターが常識として知っている「怒っていないと壊れない部位」「怒っていると回避される罠」「特定のタイミングでないと効果が出ない閃光弾」などの知識を、「こうなっている」という情報無しで発見することが出来ただろうか。


ドロップのランダム加減や、ダメージのバラつき、同じモンスターでも個体によって大きさや体力が微妙に異なるなど、全編を通して感じるのは「揺らぎ」だ。

例えばこの世に攻略本などの情報源が一切存在しなかった場合、「あのモンスターの弱点は火っぽい。いつもより早く倒せたし」「いや水の方が効く」「尻尾が取れたよ」「嘘付けいくらやっても切れないぞ」など、真実も偶然も思い込みも勘違いも織り込んだ「噂」が数多く生まれたことと思う。出現条件が複雑なモンスターなどは、本当に「伝説」になったかもしれない。

元々オンラインゲームとして開発されたモンハンにこうした揺らぎがあれば、噂ベースでユーザのコミュニケーションが活発化したかもしれない。情報一切無しで、(仮に全て遊んだとしても)全貌がぼんやりしたモンスターハンターというのも、それはそれで面白そうだと思う。