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満つらざるとも屈せず

NO MORE HEROES開封

NO MORE HEROES開封。

本作はグラスホッパー開発のアクションゲーム。殺し屋の主人公トラヴィスが、殺し屋ランキング1位を目指して上位ランカーを倒していくゲームです。既にXboxPS3にも移植されているのですが、移植が盛大にスベったようなのでWii版を購入しました。


トラヴィスは殺し屋なのですが、物凄く間抜けでカッコ悪いです。

美人エージェントに「一発でいいからヤラせて!」と言ってあしらわれ、レンタルビデオ屋で「ベッドの上で女性をよろこばせる方法 入門編」を借りてずっと延滞しています。アルバイトはゴミ拾い、草刈り、ヤシの身集めなど地味な物ばかり。アニメオタクで部屋にはその手のフィギュアが大量にあり、ポスターを見ては「MOE~」。

でもやっぱり殺し屋なので、決めるところはバシっと決める。このギャップを含め、トラヴィスという人間は物凄くカッコいい。

敵の殺し屋もそれぞれ個性的で、出会うのが楽しみな相手ばかり。


アクションとしての出来も秀逸。

普段はボタン攻撃、トドメなど「ここぞ」というところではジェスチャー(リモコン振る)が入ります。Wiiだととかくリモコン振らせたい、みたいなゲームが多いですが、本作ではそのさじ加減が上手く、明らかにジェスチャーによって快感が増幅されています。HD機に移植されてるけど、この気持ちよさはWiiならではだと思います。

またトラヴィスの武器「ビーム・カタナ」は充電式になっていて、充電が切れると威力が大きく落ちてしまいます。充電の方法は「振る」こと。ということで戦闘中に必死に逃げてリモコンを振るというシーンが出来上がります。これもまた間抜けでいい。


その他。

陰影のくっきりした画面、色使いや場面転換の演出、システムの作りなど、全体にセンスよくまとまっています。例えばセーブはトイレで行うのですが、全てのトイレの壁には「NO MORE HEROES」と書かれたポスター(デザインはそれぞれ異なる)が貼ってあります。で、起動すると最新のセーブデータを自動で読み込んで、そのポスターのアップがタイトル画面になり、ボタンポンで続きから。上手いなー。

「ロードが長い」という評判を聞いていましたが、頻度がやや多い物の長いというほどじゃない。というか個人的にはこれくらいなら全く気にならないです。覚悟してただけに、嬉しい誤算でした。

舞台となる街が結構広い割に密度があまり無いのは残念。雰囲気としてはGTAに近いんですが、走り回る意味が薄い。「無駄に金を稼ぐ」ということ自体を一つの味にしてるので、バイトの不毛さを含めて計算した上でのデザインだとは思いますが。

あと殺し屋のゲームなのでバンバン人が死にます。海外では血が噴出して欠損表現もバリバリだったらしいのですが、日本版では黒い灰になって消滅する感じに。そのままでは発売が難しかっただろうから変更はしょうがないですが、劇中「遺体の写真を撮る」みたいなシーンの意味が分からなくなってしまっていて残念。


色々書きましたが、まずアクションとして非常に面白く、雰囲気もよく、キャラクターも魅力的で、プレイする事にワクワク出来るゲームです。細かな欠点はあるんですが、それを補って余りあるオリジナリティと、それを独り善がりで終わらせないゲームデザイングラスホッパー凄いぜ。