GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

傑作の予感

影牢ダークサイドプリンセス、開封。

本作は刻命館から続くトラップゲームの新作。初代だけはタワーディフェンスっぽく趣が異なりますが、以降は「少女が館を訪れた人を罠にかけて殺す」というテンプレートになっています。

罠にかけるというとシミュレーションっぽく聞こえますが、本作は少女が実際に敵の前に立って、罠まで誘導するアクティブなゲームで、罠もコンボヒットさせてダメージ倍率がどうのと、ジャンル分けすると3Dアクションということになります。

ちなみにPSにて刻命館影牢、蒼魔灯と三作がリリースされましたが、中でも人気があった影牢がシリーズとなり、PS2にて影牢2、そして本作と続いています。本作のタイトルにナンバーは入っていませんが、HPのURLがkagero3となっており、事実上の影牢3と言えそうです。


ゲームとしての基本は今までと変わらず、館に罠を仕掛けて、敵をそこまで誘導し、罠にかけて敵を殺す、というゲームです。トラバサミで動きを止める→ペンデュラム(振り子状の鎌)で吹き飛ばす→鉄球で押しつぶす、みたいなことを一連の流れとして設定します。

まずは、ハードパワーと解像度の向上による映像の美麗化。このシリーズは「罠にかかる敵を見て楽しむ」という側面が強いため、映像の向上はそのまま面白さに繋がります。本作では鎧を着込んだ敵に弱点攻撃を当てることで「アーマーブレイク」させることが出来、鎧の下の無駄にエロい格好の女性(男性も脱げるけど)を見ることが出来ます。鎧を破壊することで敵の耐性が消えるので、攻略上も鎧を脱がすことは有効であり、「別に女性の裸とか興味無いけど、攻略上必要だからなーしょうがないなー」であります。

なお本作はVITA版以外にPS3版もありますが、PS3版はキャラクター造形の細やかさが全く異なり、またいわゆる「絞り」の演出があるため、見た目の美しさが全く違います。もちろんVITA版には「持ち運べる」という最強のメリットがありますが、PS3版の美しさは一見の価値があり、羨ましいです。

また、今までは一度鉄板のコンボが出来てしまうとそれを決めるだけになりがちでしたが、上述の通り本作では敵ごとに弱点や耐性が設定されていることと、戦闘中に「特定の攻撃を当てろ」などのお題が出題されるため、必然的に色々な組み合わせを試すことになり、マンネリを防止しています。罠の最大設置数が増えて色々試しやすくなったのもよくなった点。

この他、お題をこなすパズルのような「ミッションモード」と、そのパズルを自作、投稿、挑戦が出来る、いわゆるコンストラクションモードがあり、これが目線が変わって楽しい。影牢とコンストラクションがこれだけ相性がいいというのは意外でした。


と、ゲームとしては割といい感じですが、周辺がいまいちなのも過去作譲り。

まず、これはシリーズとしての問題ではありますが、そもそも非力な主人公は敵への直接攻撃がほぼ出来ず、やりたい放題の敵からひたすら逃げることになるため、基本受け身で爽快感が薄い。しかも本作では敵が結構強く、複数の敵に囲まれると何も出来ないままボコボコということもよくある。

で、結構負けるわけですが、セーブが章間でしか出来ず、

1章ごとに10人以上の敵がいるため、いくら負けてもこれを全部倒すまではリトライしないとならず、1プレイがやたらと長くなってしまいます。

弱点属性が記録されないのもしんどい。最初手探りなのはいいとしても、リトライで何回も戦う複数の敵の弱点全部なんて覚えてらんねーよ。

そもそも既存の文法と全然違うゲームなのに、全体に説明不足で分かりにくい。ネットワーク周りの仕様とかマニュアル読んでも殆ど何も書いてなくて、何かするのにいちいちどうするのか手探りで探さないといけない。

あとは細かいことだけど、今までの主人公は「迫害を受けた主人公が悪魔の力に頼って復讐」だったのが、本作ではそのまんま「魔王の娘」なので、力の行使や残虐な行為に対しての後ろめたさが無いのがなんとなく残念。


とは言え、過去作は「アイデアと演出はいいけど、ゲームとしてはイマイチでシステム周りはクソ」でしたが、本作は「ゲームとしてはかなりいいけどシステム周りはイマイチ」であり、十分佳作以上のゲームです。


とか書いてたらアップデートが走って、ストーリーは間でセーブ出来るようになったし、一度鎧を壊すと弱点が記録されるようになったし、敵の行動パターンにも調整が入ったみたい。

順当に不満点を潰した良アップデートと言ってよく、これでかなり快適になりました。これは傑作の予感!