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満つらざるとも屈せず

ヒーローバンク開封

ヒーローバンク開封。

 

本作はセガが(たぶん)妖怪ウォッチ層を狙ったゲーム。小学生が仮想空間でヒーローに変身し、勝利すると現金が貰える「ヒーローバンク」を戦っていくというストーリーで、アニメもやったし、既に2も発売しています。

 

「小学生にポンと1億円渡す」というナチュラルに狂った、ある意味セガっぽい世界観で「お金」が重要なテーマになっていますが、お話は「挫折からの逆転」「ライバルとの対決」「悪いことをしている大人を撃退」と意外と王道。

 

バトルの基本は「相手のHPを削り切ったら勝ち」というオーソドックスな物ですが、技を出すのに現金が必要なのが特徴。現金はバトルフィールドに「おひねり」として投げ込まれるのでそれを拾う他、「見栄えのいい技を使う」「相手の攻撃をあえて受ける」「コーナーポストでアピール(アピール中は無防備)」ことでも増加。つまりただ勝つだけではなく「魅せて戦う」ことが重要です。ぶっちゃけるとつまり「プロレス」であり、バトルの演出やアナウンスなどもまんまプロレスの雰囲気です。

 

また、バトルはヒーローに変身して行うのですが、この「スーツ」のアイデアというか、作中での使い方が非常に上手い。

 

まず種類が豊富。モチーフもツッパリからオカンから漫画家からセガのゲーム機なんていうのまで多種多様だし、見た目もポリゴンも物凄く頑張っています。スーツは各パラメータや技の他、属性や稼働時間までそれぞれ異なっているため、「強いけど稼働時間が短い」「弱いけど技が安い」「攻撃出来ないけど金稼ぎが得意」と性能的にも強い特徴があってこれもとてもいい。

 

スーツは購入すると物凄く高いのですが、使用制限付きながらレンタルによって安く使うことも出来ます。またパーツを集めて自作することも可能で、購入か自作によって手に入れたスーツは、逆に「レンタルに出す」ことで資金源にもなります。レンタルに出した時の稼働率は各スーツの人気度で変わり、人気度はそのスーツで戦うほど上がっていくので、弱いスーツで戦う理由付けにもなります。

 

また「大量の変身スーツ」というのはコラボレーションもやりやすく、コロコロの漫画あたりとコラボしたスーツも作中に登場します。

 

「スーツ」一つでシステムから演出からゲーム性からコラボまでかなり上手くカバーしていて、ほんとここは諸手を挙げて絶賛。

 

あとこれは良し悪しですがパッと触った時に「妖怪ウォッチかな?」と思ったくらいフィールドがそのままで笑った。タッチペンを使用するバトルの最初に「タッチペンでゴングを鳴らせ!」って演出を入れてペン用意させたり、結構気を使って作られている印象です。

 

勿論悪いところも。

 

まずバトルがプロレスを意識したのはいいと思いますが、演出をスキップ出来なくて非常にテンポが悪い。また取れる選択肢が意外と多く無く、しかも確率でミスすることと上記演出の問題があって「連続ミスにイライラしながら技を出し続ける」みたいなプレイになってしまいます。

 

それから、制限付きでバトルを行う「バトルメール」というのがありますが、この条件が基本的に「そのスーツをバトルの最初から着て、特定の相手を倒す」みたいな感じ。多様なスーツが売りで、ランダムエンカウントかつ属性相性が悪いと手が出ない本作で、特定のスーツを常に着てないと駄目ってのは勿体ない縛りだと思います。せめてエンカウント後にスーツ選べるとか、ちょっと緩和するだけでかなり印象違うのでは。

 

全体的にはいいゲームだと思うし、サクサク遊べそうなので、とりあえずクリアまで遊んでみよう。