Katana ZERO、クリア。
プレイ時間4時間半。
本作はASCII SOFT開発のドットスタイルアクションゲーム。基本的にはダメージ即死のシビアなアクションなのですが、失敗するとすぐやり直し出来るのと、一つのシーンが短めなので、厳しいシーンを何度も失敗しながら突破する、セレステなんかと近いゲーム性です。
タイトル通り刀を主武装とする主人公の攻撃は一撃必殺。重たい効果音と共に大量の血飛沫が舞い、巧く攻略出来た時の気持ち良さは格別。大量の敵に囲まれると大体助からないバランスなので、敵配置や地形を考えて先手を取る必要があり、ややパズルっぽい手触りもあります。そういう意味でもセレステっぽい。
ドットながらと言うか、だからこそと言うか、画面の雰囲気作りは最高。荒んだ近未来、薄汚い自宅アパート、ヤク中で毎晩パーティしてる隣人、高層ビルでいい暮らししてる主治医。アパートの屋上から見下ろす街の灯りなんかは「見た人がこういう気持ちになる絵を作りたい!」という絵がバッチリ出てる感。
ローカライズの仕事も最高で、やたらボリュームのあるテキストや、会話選択のタイミングまで絡んだテキスト演出、シニカルな言葉遣いまで全く違和感無し。
で、ここまで書いたことはゲーム性まで含めてたぶん全部演出のためにあります。本作は「面白いゲームを作りたい」よりは(いやゲームとしても凄く面白いんだけど)、「ゲーム体験も込みでこの演出をしたい」という指向性で作られているように思えます。
主人公のドラゴンは戦争の後遺症で投薬治療を受けていて、薬の副作用で時間の感覚や前後関係が曖昧。だから予知の形で戦場をシミュレート出来て、失敗した行動をやり直せる。投薬を続けるうちに話の食い違いや認識の矛盾が出てきて、妄想と現実の境が曖昧になっていく。どれが現実で、何が本当で、自分は何者で何と戦っているのか。ゲームシステムまで巻き込んだ妄想は、ドラゴンとプレイヤーをも徐々に飲み込んでいきます。
っていう感じのゲームで、遊んでいての没入感は非常に高く、雰囲気を含めて満足度もとても高い。唯一残念なのは、本作が完全に序章に過ぎないことで、主要な敵は大体顔見せしかしてないこと。続編もあるなら是非遊びたいけど、この作り込み様だといつ出るかなぁ。