EASTWARD、クリア。
プレイ時間30時間半。
本作はpixpil開発のドットスタイルアクションゲーム。昨今ドットスタイルは増え過ぎてちょっと上手いくらいでは話題にもなりませんが、本作はその中でも群を抜いて描き込まれていて、初報の画面写真を見た、まだ内容も全く分からない時から遊びたかったゲームです。
ゲームとしては見下ろし型のアクションで、それほどシビアではない物。ちゃんと作ってはあるけど目新しい物ではないかな。割と被ダメが大きく、減った体力をアイテムをジャブジャブ使って回復しなが戦うバランス。ボス戦はギミックを解くパズルっぽい感じ。
ストーリーは炭鉱夫のジョンと、ジョンが拾った女の子の珊が主人公のロードムービー。珊はめっちゃ元気で真っ直ぐな子供なんだけど、なんかカプセルの中に入っていて、敵を拘束するビームが出せて、時々別の珊が出てきて会話しているなど、普通の子供ではない雰囲気。地下の抑圧された町から始まり、東の果てにあると言う「未来」を目指して旅をしていくことになります。
まず圧巻なのはやはりその偏執的なまでのドットの描き込み。道中で出会う大量のキャラクターは全員個別の顔と専用のアニメーションがあり、道中の街は全て全く異なる世界観。瓦の一枚、パイプ一本まで描き込まれた町は、しかし話が進んでしまうと二度と出てきません。オウルボーイやアイコノクラスツも凄まじい描き込みでしたが、本作の物量はそれらを超える物です。
インディーのドットゲーはなんかの義務かのように暗い内面的な話が多く、本作もシナリオだけ見ると暗めではありますが、珊がとにかく明るく真っ直ぐで、遊んでいると雰囲気はかなり明るい印象です。音楽も演出も爽快寄りで楽しい気持ちになります。珊の表情が豊かでめっちゃいい。
お話としては、まとめるとジョンと珊の関係性の話になるのかな。二人の互いへの強い信頼感がずっとあって、色々あったけど、細かいことはうっちゃって、いい結末になったんだと思う。でも珊がジョンを100%信用して信頼してるのは分かるけど、拾っただけの得体の知れない子供を命をかけて守るジョンはちょっと理解出来なかった部分はある。「父性」ということになるのかな。作中ジョンは一切喋らないから、行動は見えるけど感情とか認知は見えにくいのよね。
陳腐な言い方になるけどとにかく「雰囲気」のいいゲームで、景色が変わるごと、行動や出来事一つごとになんらかの感情を揺さぶられるゲームでした。コストをかけた映像をどんどん使い捨てて新しい場所に行くのも異様に豪華で贅沢感あった。ただ後戻りが出来ない構造の割に実績が要素収集ばかりでここはチグハグ感はありました。