GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

unpackingクリア

unpacking、クリア。

 

プレイ時間はクリアまで6時間、その後ステッカー集めで2時間。

 

本作はウィッチビーム開発の「荷解き」ゲーム。引越し先に積み上がった段ボールを開梱し、出てきた物を部屋に並べて行くゲームです。

 

最初に一人部屋を貰うのを皮切りに、一人の人間の引越しと荷解きを時系列に行って行きます。ゲームに関する説明やテキストは殆ど無く、当人を含め人間も一切出てこず、ただ荷解きだけをするゲームなのですが、箱から出てくる物、部屋の様子などから人物像、人間関係、時代などが浮かび上がる作りです。

 

ずっと持っている人形が劣化していく、大事にしていた物が置き場無く隅に押し込まれる、同居人の影響で趣味が変わる。荷物を並べているだけなのに、荷主の生活、考え方の変化まで見えてくる作り。荷物によっては「正解の置き場所」があるのですが、今まで貼り出していた写真を「棚に仕舞うのが正解」とすることで関係の変化を表現してるのはお見事。

 

空の部屋に入るばかりではなく、既に人が住んでいるところに引っ越したり、一人で住んでいるところに他人が越してきたりもして、綺麗に整頓されている物を崩して荷物を詰め込むことにもなり、「他人と生活が融合すること」の揺らぎも感じます。Florenceの引越しパートでも感じた感覚。

 

ピクセルアートの表現も拘り抜いていて、数ピクセルの箱が3DSのパッケージだと分かり、デッサン人形はポーズを変え、アイテム毎に個別の設置音が鳴る拘りぶり。アイテムによってはアクションまで設定されていて、ランプは光り、トイレは流れ、パソコンはOSが起動してメールが届き、ゲーム機は時代毎に別のゲームが起動してジングルが鳴ります。

 

ゲーム自体にスコアはありませんが、本やゲームパッケージは揃えたくなるし、生活を考えて利用頻度が高い物を手前に配置したり、服も皺になりそうな物は出来るだけハンガーに掛けるとか、ついつい色々考えて配置してしまう。物が増えてくると開梱に面倒さを覚えるし、ずっと持ってる物には愛着も湧いてくる。公式が「禅の要素もある」って言ってるけど、この人生を俯瞰したような感覚は禅に近いのかもしれない。不思議な隔世感を感じるゲームでした。

 

ゲームは荷主が子供の頃から始まって20年分くらいなのですが、この感じで老人になるまであったらもっとエモいというか、より深い禅の感覚になると思う。でもそこまで行くと刺さり過ぎて危ない気もする。