SWORD OF THE VAGRANT、クリア。
プレイ時間17時間。
本作はO.T.K.Games開発のアクションゲーム。とにかく「ヴァニラウェアが好きなんだ!ああいうゲームが作りたいんだ!」という意思が画面一杯に伝わってくるゲームです。
ヴァニラウェアといえばまず美麗なグラフィックが特徴です。本作はそこを目指し、一般的に「美しい」と言える水準に達していると思います。ただ先方に見られるキャラ、モーション、背景、小物から画角に至るまでの偏執的な描き込みまでは全く及んでおらず、あくまでいちフォロワーというクオリティです。しかしパッと見で「ヴァニラウェアを目指したんだな」と分かるというのは十分頑張っていると思います。
ゲームとしては、朧村正やオーディンスフィアのような、広いフィールドマップと軽い探索、成長要素のあるアクションゲーム。操作にはキチンと反応するし、攻撃の感触も気持ちよく、戦闘の手触りは悪くありません。敵のバリエーションも多く、ボスも多彩。特に使い回しが少ないのは素晴らしい。
しかし残念ながら良かったのはこの辺りまで。
アクションとしてまずは、被ダメリアクションがデカ過ぎる。あらゆる攻撃を食らうと怯み、空中だと吹き飛びダウン確定。地上だと被ダメ無敵が無いのも悪く、小弾連打で一気に死ぬこともしばしば。
特に縦長のマップを登るところでは、周囲八方の見えないところに沢山の敵配置、そこからひたすら飛び道具を打ってくるので、終始敵弾に囲まれていて、食らうと吹き飛んでまた下層からやり直しでかなりストレスが溜まります。
またボスによっては大量に巨大な当たり判定をばら撒き続けて攻略もクソも無い。バランスが適当でやたら被ダメが大きいのもストレスを後押し。お前これ面白いと思って作ってるか?
一応、完全無敵で使い放題の回避アクションがあるのと、回復薬を溜め込んでガブ飲みすれば進行は可能です。また最強装備を全部揃えればこちらの強さが上回って無双に近くはなりますが、最後の最後になるしこれを前提に問題無いとは言えません。難易度ノーマル(一番下)で遊びましたが、一番下でこれだとちょっと難易度上げたいとは思えません。
その他、床下りが無いとか、大量のアイテムが手に入るのにリストメニューの上下が繋がって無いとか、結構死んでボス前会話とか複数回見るのにスキップが無いとか、ゲームとしても細かなストレスが多いです。本編が面白ければちょっとした瑕疵だったかもしれませんが、本編でストレスを抱えているとこの辺も結構気になってしまいます。
ヴァニラウェアフォロワーとして開発に力が入っていることは疑いようが無く、ゲームとして一定の水準は満たしています。しかしアクション部分の設計とバランス調整で最終的な印象が悪くなっていて勿体無い。