GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

コーヒートークコンプ

COFFEE TALK、実績全解除。

 

プレイ時間10時間。

 

本作はToge Production開発、喫茶店のマスターとなり、来店した客に飲み物を提供するバリスタゲームです。"バーテンアクション"である「va-11 hall-a(ヴァルハラ)」に似た設定、ゲーム性ですが、本作はヴァルハラのフォロワーであることを公言しています。

 

世界観として特徴的なのが様々な種族が存在する世界であること。狼男、吸血鬼、エルフなど人間以外も普通に生活しています。満月の夜には変身し狂暴化してしまう狼男、無限の寿命を持ち他種族を見下しているエルフなど、種族ならではの特徴、悩みも。作中では「もし世界に人間しかいなかったら差別は無いんじゃないか」という"ファンタジー"に「そうしたらきっと肌の色とかの差で対立するようになるよ」という会話もあり、本作がどういうゲームなのかを端的に表しているように思います。

 

ゲーム性としては来店した客の注文、あるいは悩みに合わせてコーヒー、紅茶、ココアなどのベースとしょうが、レモンなどの素材を調合して提供し、正解なら好感度が上がり、全員が一定の好感度を超えているとエンディングが分岐する、という感じ。組み合わせは多いですが難易度はそれほど難しくなく、2周目でトゥルーエンドに到達出来ました。ローディング画面で組み合わせ結果をチラ見せするのもオシャレなヒント出し。

 

本作はゲーム性よりはキャラクターの会話劇がメインコンテンツ。来店する客はそれぞれ悩みを抱えていて、マスター、あるいは居合わせた客と会話する中で悩みが解決したり深まったりします。会話はどれもウィットに富んでいてオシャレ。原本は英語だと思いますが全く違和感が無く、ローカライズほんと頑張ったなと思います。客の悩みは種族特有の物もありますがその殆どは誰にでも起こりうる普遍的な物、特に人間関係に拠る物が多いです。勿論当人にとってはそれぞれ深刻な悩みですが、ヴァルハラに比べるとキャラクターの悩みもテンションもストーリーラインも静かな印象で、しっとりした世界に静かに寄り添う物語になっています。大きい波が起こらないのが物足りないとも思うし、それがいいゲームなんだとも思える。

 

ちなみに難易度は低めと書きましたが、チャレンジモードの終盤は別。チャレンジモードは時間制限のある中でお題の飲み物を提供し続けるゲーム。進める毎にお題が難しくなって行くのですが、終盤は全組み合わせの中でたった一つの正解を探り当てないとならず、情報無しでこれを引き当てるのはほぼ不可能で明らかにやり過ぎ。これが実績に絡んでるのも良くない。

 

普遍的な悩みに静かに寄り添う、丁寧に作られたしっとりしたいいゲームだと思いますが、思想というか語りたいことが先行している印象で、ゲームとしては波が小さく「面白い」という感想にはならなかったかな。