CELESTE、クリア。
プレイ時間9時間半、死亡回数1504回。
本作は昨今インディーズにありがちなドットスタイルの2Dアクション。初見殺しの罠と高い難易度が特徴です。今や遊びきれないほど存在するこういう感じのゲームの中で、本作は海外のメタスコアで異様な高評価をマークして話題になりました。
ゲームとしては、上述の通り高難易度のアクション。大きくても数画面のステージを死にまくりながら攻略していきます。ウリの難易度は流石の高さでともすると理不尽でもある、のですが、死ぬと多数あるリトライポイントから一瞬で再開され、「多数の失敗の先に一度の成功」を繰り返して進んでいくデザインです。
また理不尽とは書きましたがステージ設計は練りに練られた物で、遊べば遊ぶほどウットリする美しい構成になっています。チャプター毎にメインのギミックが変わるのも楽しい。個人的には夢の中がお気に入り。
軽い探索要素もありますが能力拡張は無く、「今は取れないアイテム、行けない場所」はほぼ存在しません。
総じて、素早いリトライ、操作に対する反応、「今は行けない」の排除など徹底的にストレス要素を取り除いてあって、とにかく目の前のステージにだけ取り組めばいい作りなのが心理的に軽くて非常に心地よい。地味な部分ですが、失敗の演出がほぼ無い(パッと消えて即再開され、例えば残念ぽい音楽が流れたり、「残念」と表示されたり、「ボタンでリトライ」とかで画面が止まったりしない)のが実は白眉なんだと思います。
本作の主人公はマデリンという女の子(全編通じて年齢がはっきりしませんが、酒飲んでるから少なくとも成人と思われます)。引きこもりでありパニック持ちのマデリンはなんか「登山だ!」と思い立ってセレステ山にやってきます。ただでさえ険しい上に幻を見せたりトラウマを抉ってくるセレステ山を、他人と出会い、励まし助けられ、時に自分の内なる声と対話しながら登って行きます。
まあつまり、言葉にするとチープなんですが、トラウマの現出と克服としての登山なのよね。これも昨今のインディーズにはありがちですが、表現媒体としてのゲームというか、ナラティブというか、よく分からないけど、そういうものもキッチリ収まっていて、ちょっと穿った言い方ですが、海外で評価高いのに納得。
勿論、そもそもゲーム部分の完成度が飛び抜けて高い上のことだし、プロトタイプやインタビューを見るにゲーム性が先にあったのは間違いなく、演出も含めてのパッケージングが非常に優れていたということですね。
あと笑ったのが、途中になんの脈絡もなく白い大きいブロックが置いてあって、反射的に上で長くしゃがんだら案の定すり抜けたこと。ここだけ急に露骨なパクリで笑いました。
イチゴ、B面、宝石など更に高難易度のやり込み要素はまだまだ残っていて、このゲームをまだ遊べることを嬉しく思います。ここのところイライラしがちな私が、これだけ死んでるのに全く嫌な気持ちにならずに遊べているのが、本作が圧倒的に優れていることの何よりの証明だと思います。