GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

善人シボウデスコンプリート

善人シボウデス、真エンド。

プレイ時間30時間弱。いやー一気に遊んだな。

本作はチュンソフト開発の脱出アドベンチャーで、9時間9人9の扉の続編。

ゲームとしては、諸事情により脱出ゲームの難易度がやたら低かった999と比べると、今回は「ノーヒントで熟考してなんとか解ける」という、個人的にはいい塩梅の難易度でした。

システムとしては、2画面の使い方が見事だった999に対して、ギミックとしての驚きはナシ。また基本となるルールが(舞台装置としてよく出来てはいるんだけど)やたらめんどくさく、それを鑑みて毎回キャラクターが解説してくれることもあり、プレイヤーは全く考える気になりません。システム上ちょっとだけ違う似たテキストが多いため既読スキップも効きにくく、また頑張って読み進めても(これもまたシステム上しょうがないんだけど)一番盛り上がるところで「続く」。

あと移動のたびに入るアニメーションは、毎回入る、長い、飛ばせない、マップ見せられてもよくわからない、別に分からんでも困らないと完全に冗長。長いと一分くらい操作不能で待たされるのは、いくらアドベンチャーでもやり過ぎ。

一方で、同じ仕掛けを何度も解かなくていい、フローチャートからのジャンプが便利、既読スキップ機能自体は早いし快適と、ここは999から大きく改善された部分。


と、システムに関しては決して素晴らしいとは言えない出来ですが、本作はアドベンチャーだし打越鋼太郎(Ever17の中の人)なので、シナリオがよければ全てよし。

でそのシナリオは、ゲームである故のフローチャート構造、プレイヤーへの知識の蓄積、盲点なんかを盛り込んでかなり盛り沢山。シュレーディンガーの猫、囚人のジレンマ、並行世界、高次元などなど正直詰め込みすぎ感もありますが、「戻って選び直せばいいや」というプレイヤー心理までも手玉に取られ、終盤に入ってからの一つ事実が明らかになるごとに盛り上がってくる勢いは流石。999の人物が結構出てくるので、「あの人がこのような」的にも楽しめました。

が、ゲームの構造上「あらゆる可能性」を知ってからが本番なので、火が点くのがかなり遅い。また大きなどんでん返しがかなり序盤で読めてしまったため、類似作品みたいに大きく揺さぶられませんでした。っていうか殆どのネタが既視感あって、終盤の大ネタも驚きよりは「またそれ!?」って思ってしまいました。

あと折角すっげー複雑なフラグ管理をしていて、物語としてもそれを活用しているのに、複雑過ぎてプレイヤーが現状を把握出来ないためあんまり有効に働いていなくて勿体無い。まぁこれは俺の頭が悪いだけかもしれないけど。

全体として、よく出来ているし、ボリュームも十分。お話も面白かったし、なんだかんだ驚きもあった。考察するのも楽しいし、今回謎だった部分が語られるなら続編も是非やってみたい。のですが、過去のプレイ経験が足枷になってしまい、残念ながら今ひとつ乗りきれませんでした。