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満つらざるとも屈せず

風ノ旅ビト

風ノ旅ビトプレイ。

友人宅にて機会があったのでやらせてもらった。本作は昨年(?)のゲームオブザイヤーを始め、賞を総なめにした作品。台詞もテキストも表情も全くない状態で、砂漠を行く旅人を体験するゲーム。原題が「JOURNEY」なのですが、まさしく「旅をするゲーム」でした。説明が難しいけど、ICOからヨルダを取り除いたような、ワンダと巨像から巨像を取り除いたようなゲームです。

物語は断片程度しか語られないし実際たぶん意味も無いのですが、夕日を反射して輝く砂漠が雄弁に何かを語りかけます。風景は本当にため息が出るほど美しい。

またオンラインの使い方も絶妙。旅をしていると同じ姿の人に出会うのですが、これが全部オンラインの向こうの人間。あまりに自然に出てくるので最初はNPCかと思った。お互いに出来ることは「ポーン」という音を出すくらいなのですが、旅をしていくうちにこの音だけでなんとなくコミュニケーション出来てしまう。で「相手となんとなく仲良くなったな」と思ってエンディングを迎えると、実はこれ途中で相手が変わってる。コミュニケーションが薄いことと、実質一本道でみんな行動が同じだから、気付かないのよね。

プレイ時間は2時間程度。短いんだけど、たぶん、景色やオブジェクトを見たとき、また他プレイヤーと出会って一緒に進む時のプレイヤー心理までデザインされてて、プレイ後の満足感が異様にいい。ゲームというメディアにしか出来ない「体験の提供」をする作品と言えます。これはゲームオブザイヤーになるのも納得だし、同時によくこの企画が通って、よくこのゲームを開発して、配信まで漕ぎ着けたなと。まぁ開発会社が飛んだり紆余曲折もあったらしいけど。