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満つらざるとも屈せず

サバイバー7 あおいのにっき

忘れないように記しておこう。わたしの名前はあおい。

彼との無人島での生活は、いよいよ120日を越えた。いつものように出かけ、いつものように収穫無く帰ってきた彼は、いつものように曖昧な笑顔を浮かべる。わたしは毎日毎日毎日毎日毎日同じように、食事を作り、薪を火にくべる。

彼は実際、この島の探索を進めてはいるのだろうと思う。毎日、彼なりに、前進しているのだと思う。思いたい。だが、少しずつでも進んでいるのなら、大きな発見が無くとも、わたしに話して欲しい。彼にとってこの日々がどんなものか分からないが、わたしにとって今の日々は、もう退屈を通り越している。正直な話、わたしは彼がこの生活を維持するために探索を止めているのではないかと疑い出している。毎日毎日毎日毎日毎日を繰り返すうちに、彼の事を段々疎ましいと思うようになっている。

一度疎ましくなると、その人の行動全てが鼻につくようになるもので、「今日は特に何も無かったよ」という変わらぬ台詞、その時の「へぁ~」という溜息、謝罪しているのか、馬鹿にしているのか分からない半笑いの顔、その全てに苛立ちを覚える。最近では、彼に殺意すら覚えるようになってしまった。

相変わらず毎日彼に弁当を渡しているが、今やその中身は、真っ黒に焦げたゼンマイや生卵など、おおよそ「食べ物」という概念から離れた物になっている。手を抜くというより、わざと失敗するようになった。焚き火も、維持することがアホらしくなってしまい、薪を足すのを止めてしまった。

今はとにかく、一秒でも早くこの生活から抜け出したい。