Return of the Obra Dinn、クリア。
プレイ時間12時間半。
本作はルーカスポープ開発のアドベンチャーゲーム。19世紀初頭に行方を絶った船が4年後に帰還、しかし船内は無人。船に何があったのか?乗員はどうなったのか?を推理していくゲームです。
まず目を引くのは3Dでありながら1ビット(白黒)のグラフィック。昔の映像であることと、船内で起こった出来事の悲劇性を強調しつつ、情報の解像度を落とさない見事なグラフィックとなっています。
主人公は帰還した無人のオブラディン号を訪れ、乗員の名簿(名前、肩書き、出身地)と数枚の当時の船内スケッチだけを頼りに全60名にそれぞれ何が起こったのかを推理していきます。船内には数体の白骨があるのみで推理は不可能に思えますが、不思議な懐中時計によって遺体から「死の瞬間の映像」に入ることが出来、この中をつぶさに観察してヒントを探して行きます。
情報は現在の船内、映像の中やその台詞の中に存在しますがいずれも断片的で、顔と名前も一致しない中個人とその結末を特定するのはかなり困難です。「映像中で名前の発音がある」なんてのはかなりラッキーで、ゲーム序盤には「決定的な証拠が見つかることは稀で、推測や時に消去法も必要」と警告されます。
「中国語を話すグループにいる」「隣に従っているように見えるから部下に違いない」「この部屋にいるからこの肩書き」など、あらゆる情報をあらゆる角度から参照し、時にこじつけも駆使して徐々に情報が埋まっていくのは意外と楽しい。情報の意外な見方に気付いた時なんかは電撃が走ります。入力した情報の中に正解が三件あると"正答"として確定される仕様も絶妙で、丁度良く正否を迷わされます。
事前の情報では「超絶難易度!」みたいな触れ込みでしたが、実際難しくはあるものの、じっくり見て考えるとヒントが見つかるようにはなっていて、全く進まない状態にはなりませんでした。
断片的な情報を集めて少しずつパズルを埋めていくのと、人間関係や出来事が分かってオブラディン号に起きたことが明らかになっていくのは楽しく、情報の隠し方も簡単過ぎず難し過ぎず絶妙で、中々進捗しない時でもモチベーションが下がらずに遊ぶことが出来ました。面白かった。