中世の暗殺者として色んな人を粛清して回った人…をご先祖に持つ主人公が、それを思い出したりなんかするゲーム。まぁ主に操作するのはご先祖ですが。
「暗殺」というくらいなので、基本はよくあるステルスアクションですが、このゲームが特徴的なのは「ソーシャルステルス」というシステム。本作では他作のように物理的に隠れるのではなく、メインで隠れるのは「人ごみの中」となります。普通の格好してれば暗殺者だってただの人。人ごみの中から現れてサクッと○したらまた人ごみに紛れて撤退。
また現場は街中が多いのですが、主人公はパルクール(と作中では言われないけど)をマスターしていて、壁や柱など建造物にかなり自由に登れます。屋根の上など目に付きにくいところを移動し、降りてきて人ごみに紛れて暗殺、また人ごみに紛れて現場を離れたら屋根に登って逃走、というのが「基本の流れ」になります。
この「基本の流れ」が非常によく出来ていて、動きが美しく、操作して気持ちいい。適当にうろうろしてるだけでも楽しいし、目的を持って行動しそれを華麗に達成できるのが快感。この部分は本当に「練りに練った」という印象を受けます。世間の評判がいいのも頷ける。
とは言え敵に見つかれば勿論戦闘になります。ステルスアクションでは敵に囲まれると即死という作品が多いですが、本作のプレイヤーは近接戦闘もかなり強い。いや、凄く強い。
特にカウンターの性能が優秀で、斬りかかって来る敵を華麗にかわして次々と撃退出来ます。カウンターのタイミングもかなり緩く、ベヨネッタの∞CLIMAXをクリアした私としては楽勝ムード。10人20人に囲まれても普通に撃退出来る。
というかまぁ、アクションとしては難易度がさほど高く無い。気持ちよく暗殺者出来るような調整なんだと思います。
全体を通して「非常にいいゲーム」であることは間違いないのですが、難点も結構あります。
まず「基本の流れ」は超楽しいんだけど、やることがこの基本しかないということ。すげー広い街の屋根を飛び回って、盗聴、スリ、時には拳も使って情報を集め、目標の人物に忍び寄って暗殺する。どこの街に行ってもどんなミッションを受けてもやることはほぼ変わらない。
街が物凄い広いのに似た建物ばっかりで目標物が殆ど無いのも辛い。画面を見ても自分の現在地を測れる物が無いし、方角も見失い易い。結果ちょくちょくメニュー画面からマップを見なければならない。特徴的な建物を配置するとか、レーダーにもマップを表示するとか、レーダーの倍率を変えられるようにするとか、やり様はあったんじゃないかなと思います。
単調な展開に彩りを添えるはずのサブミッションは、異常に難易度が高い。旗集めとテンプル騎士団の壊滅が主なサブミッションなのですが、どっちもマップに位置は表示されず、その数は膨大。前述したようにだだっ広い、似たような風景が続く街の中で、マップにも映らない100本とかの旗を探し出すのは、既に苦行の域かと思います。
そして最後に、本気で作り込んだことの弊害が一つ。街には色んな人がいて様々なリアクションを見せてくれますが、その中に頭のおかしい(と思われる)人がいます。
半裸でフラフラ歩きながらアウアウみたいなことをつぶやき、なんか時々指チュパしたりして、近くを通ると急に突き飛ばしてくる。姿、振る舞い、声の抑揚などがあまりにも「それっぽ」過ぎて、聞いてると非常に心がかき乱される。しかも高所にいても聞こえるし、尾行中とかずっと聞いてないといけない。これはほんとに心をおかしくしそう。Z指定はこのせいじゃないかと思うくらい辛い。
折角作り込んだ物を悪く言いたくはないけど、テストプレイで気が付いて欲しかった。これは流石に無いだろう…。