GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

グノーシア終了

グノーシア、終了。

 

プレイ時間45時間以上。レベル最大(266)、221周目。

 

本作はプチデポット開発のアドベンチャー。宇宙船のクルーに紛れ込んだ怪物グノーシアを議論で見つけて投票でコールドスリープさせる…まぁ「人狼ゲーム」をやるゲームですね。先に言っておくと、最高のゲームでした。このゲームを遊べてよかったと心から思えます。

 


人狼ゲーム」をやるゲームですね、とか言いつつ人狼は昔ルールを調べただけで実際にやったことは無かったので、本作で初めて人狼を遊んで思ったこととか。人狼では占いや論理的な矛盾などで情報を手に入れることは出来ますが、よっぽどはっきり矛盾していない限りは大体情報不足となるため、基本的に「勘」で投票先を決めることになります。「嘘をつく必要が無い役割は発言を熟考しない」という前提から、「喋ってないから怪しい」「喋り過ぎていて怪しい」とかは典型で、初日の夜なんかは情報が無さ過ぎて適当な投票になりがち。この辺が私が人狼を今一つ好きになれない理由だったのですが、遊んで分かったのは、要は人狼は「雰囲気をコントロールする」というゲームだということ。自身が確定的な情報を持っていたとしても、それを信じて貰えなければ無いのと同じ。逆に嘘をついていたとしても、周囲が信じてくれればそれは真実になります。天秤をじわじわと自分の方に傾けて望みの結末を手に入れるのが人狼ゲームの本質と感じました。特に周囲が嘘を信じて踊ってる快感は格別。そういう意味でたぶん決まると一番楽しい役割は狂信者。

 

ということでやっとゲームの話。本作では自分を入れて最大15人で延々人狼を遊ぶゲームです。マルチは無く14人はCPU。役割はシャッフルされますがメンバーは固定で、それぞれが性格やパラメータの決まった個人です。会話がベースの人狼のエッセンスを上手くゲームとして抽出していて、やることは基本的に「誰を疑うか」「誰を信じるか」でシンプル。なんだけどメンバー各々が個性的な発言をするため、「議論してる感」が凄い。嘘ついて無いのにいきなりみんなに疑われて吊られた時に、信じて貰えなかった事に若干凹むくらいちゃんと人間と話し合ってる。誰が誰を疑っているか、信じているか、怪しそうかを雰囲気として感じながら少しずつ天秤を押していく感覚は正に人狼のそれ(やったことないけど)。この議論感は文章では伝わらないと思いますがマジ凄い。特に会話してないのに「嘘をついて自分に協力してくれている」ことが分かると言うと少しは伝わりますでしょうか。

 

とは言え実際の議論をそのままゲームにするのは無理があるので、いくつかゲーム的な味付けがされています。まずは「確率で嘘がバレる」こと。「嘘をついた」ということが相手に明確に分かってしまうため、嘘をつくことそのものにリスクが発生します。とは言えバレない時はバレないし、バレても反撃して相手を嘘つきにもしてしまえるいいバランス。またこれがあることで「自分は人間だと宣言しろ」コマンドが輝きます。それから「初日(全員が揃っている)に名乗り出た役割には必ず本物が入っている」という決まり。これによって情報を絞り込む範囲が狭まるため、情報確定や論理矛盾の指摘が行いやすくなっています。では、自分が本物のエンジニアだけど初日に名乗らなかったら?…という疑問にもちゃんと応えてくれる本作は本当にいいゲーム。

 

ゲーム中殆どの時間を一緒に過ごすことになるメンバーも個性派揃い。あまりにも個性的過ぎて最初やや胸焼けしますが、能力は高いのに発言が嫌味で疑われやすいとか、いい奴なんだけど嘘つくのが下手ですぐ釣られちゃうとか、段々人となりやバックボーンが分かってくるとみんな魅力的でいいキャラと思えてきます。キャラクターデザインもやたら情報量が多くて、表情も豊かで全然見飽きない。200ゲーム以上を共にした今、もう彼らとは友達と言えます。でもククルシカとレムナンは何もなくてもとりあえず俺を疑うから嫌い。この個性的なメンバーが昼間でも夜中でも付き合ってくれて、モチベーションも常に最高で、間で1時間考えてても待っててくれるんだから最高に決まってる。

 

このように本作は「個性的な仲間と延々人狼を遊ぶ」というゲームなのですが、ちゃんとしたストーリーが存在します。そもそも彼らは別に遊んでいるわけではなくて、毎回真剣に人間を襲うグノーシアを見つけ出そうとしています。でもグノーシアを見つけると時間がループしてしまっていて、そのことに自分と仲間の一人だけが気付いています。何故ループが起こるのか?何故二人だけがそのことに気付いているのか?何故毎回グノーシア汚染者が違うのか?ループを繰り返し、仲間たちの情報を知っていく中で、徐々に真実が見えてくる作りになっています。

 


まず人狼ゲームとしてのクオリティが非常に高い。キャラクターが魅力的でそのバックボーンを含めて彼らのことを知っていくのが楽しい。しっかりとしたストーリーがあって驚きに満ちている。節々の選択肢を「自分で考えて選択している」感覚がいい。あと音楽が凄くいい。透明感があってスペーシー?で感情を揺さぶられる。久しぶりにゲームのサントラ買った。そして、エンディングを見た後の仕掛けは、自分で考えて到達してこそ言われる台詞が染みる。本当にいいゲームでした。