GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

サクナヒメクリア

天穂のサクナヒメ、終了。

 

プレイ時間49時間。

 

本作はEDELWEISS開発の米作りアクションゲーム。作中で稲作を行うのですがその作りがガチ過ぎて話題となりました。

 

宇崎ちゃんみたいな声の主人公のサクナは豊穣神ですが親の遺産でグータラ生活をしていたところ、色々あって都を追放され、田舎の山中で自ら鍬を振るって米作りすることを余儀なくされます。我儘なサクナは文句タラタラで嫌々稲作を始めますが、何年も米作りをして周りの人間と交流し、色々な出来事を経験するうちに豊穣神として目覚めていくことになります。

 

サクナは毎年の米の出来に応じてステータスが上がっていきます。肝となる米作りは田起こし、田植えから収穫まで手作業が必要な手間のかかるもの。どのプロセスも手間がかかるのは勿論ですが、田んぼの水をどれくらい張るか?肥料はどんな内容物でいつ撒くか?苗の間隔はどれくらいか?病気になったらどうすればいいか?など(当たり前ですが)分からないことだらけ。また状況が数値で表されたりもしないので難しいというより分かりにくい。やること考えることが沢山あり、どの行動がどの結果に繋がったかもよく分からないため特に序盤は全て手探りで行うことになります。こうして苦労して作った米はまさに「おらが米」となり愛着もひとしおで、序盤は勿体なくて食べられませんでした。

 

実際にはプレイヤーの稲作経験値が増えるのと同時に段々と細かな情報が開示され、基本的には品質と収穫量がトレードオフになるなど大まかな考え方が分かってくるのと、各プロセスにより楽になる手段が供給され、肥料にもいい物が入れられるようになり、適当にやっていても米の品質も収穫量も段々上がっていく構造になっています。終わってみると不便な序盤が一番真面目に稲作に取り組んでいました。

 

アクションとしてはかなり手触りよくキビキビ動きます。羽衣による縦横無尽の移動や多彩な奥義、キャンセルもあって朧村正感のある素早い戦闘が可能です。大量の敵を上手くいなしつつバシバシ倒す爽快感はかなりのもの。自分と戦うシーンがあるのですが、そこでの相手の自在な動き方は見事の一言で、「俺ってこんな動けたのか!」と驚かされました。ただ一度連撃に入るとキャンセルが効きにくくなるのと、横入れ攻撃が移動斬りで暴発しやすく、敵が大量に出て囲まれる中で後ろを振り返りにくい作りのためストレスを感じることも多かったです。爆弾を始め吹っ飛ぶ攻撃が多く、操作不能のままやられ続けるシーンもそこそこありました。

 

要素は徐々に増えて、稲作、戦闘、食事、交易、アイテム製造などなど最終的にはかなりのことが可能になります。特に米の価値というか意味付けがフェーズ毎に(プレイヤーの中で)変遷するのは面白かった。でも全体に進行のフラグが分かりにくく、何をするにも「これで本当に最後まで終わってるのか?」と疑問が付きまとってスッキリ終われないのが惜しい。実際クリア後にも稲作要素が増えたのですが、これが取りこぼしだったのかどうかは未だに分かりません。

 

あと本作は「インディーズソフト」とのことですがグラフィックが大分リッチ。特に水を張った田んぼや耕した土とそうでない箇所など質感の表現が素晴らしく、縁側で景色を眺めているだけでも楽しめます。

 

粗削りな所や遊びにくいところもありますが、小さい出来事が積み重なっていくストーリー、ガチの稲作と爽快なアクション、各要素の有機的な絡み方など、話題になったのも納得の面白さでした。