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満つらざるとも屈せず

DONKEYKONG RETURNS

DONKEYKONG RETURNS開封。

本作はSFCで発売されたスーパードンキーコングシリーズの続編です。旧作はポリゴン描画するにはパワー不足なSFC上でのプリレンダ取り込みによる美しい映像、優れたコースデザインによる高いながらも理不尽でない難易度などが人気を呼び3作が作られました。

開発はイギリスのレア社で、スーパードンキーコングで頭角を現してからゴールデンアイブラストドーザーなどその後も任天堂プラットフォームに優れたソフトを提供することになります。私も初代を遊んで以降「RARE」というロゴには大きな信頼感を持っていました。

ですが現在レア社任天堂の提携関係は終わっており、最新の本作を開発したのはメトロイドプライムを作ったレトロスタジオ。それも少し前に主要メンバーが退社していて心配する声があちこちで聞こえ、「社長が訊く」でもその辺に触れていました

ということでなまじ旧作の評価が高いだけに、あらゆる状況が刷新された本作の仕上がりには不安がありました。


で遊んでみたわけですが、心配は全くの杞憂でした。

プリレンダからフルポリゴンになり、更に躍動感を増した映像。死んで覚えろ!と言いつつ決して突き放さない絶妙な難易度、タルやトロッコなどのお約束を抑えつつ新しい発想もふんだんに盛り込んだコース設計。紛れも無くドンキーコングの新作がそこにありました。

個人的に「おぉっ」と思ったのが、本作では各ステージに5~7個のパズルピースが隠してあるのですが、初回真面目に探したにも関わらず、1-1のピースが揃わなかったこと。大抵のゲームでは最初くらいは丸見えの所に置いてあるものですが、隠す側の「本気」が伝わってきました。またこういう隠し要素を丸っきり隠してしまうのも上手く無いわけで、例えば落下即死のゲームで、数多くある穴のどれか一つが隠し通路、みたいなのは探す気も無くすものですが、その辺のさじ加減も絶妙。ノーヒントでもない、ヒント丸出しでもないという場所に置いてあって、いちいち上手い。

私はゲームの「信頼感」と言っていますが、「こういう構成ならここは飛んでも大丈夫だよね」「ここに導線が引いてあるならその先にアイテムがあるよね」「ここにタルが置いてあるのは意味があるんだよね」みたいな、プレイヤーの思考を裏切らないゲームというのは遊んでいて非常に楽しいです。マリオとかもこの辺が上手。本作もまさにそう。

で、信頼を裏切らないなら簡単かというとそうでもなく、どの面でもそれなりに死ぬし、特に各ワールドにある隠しマップ「ラビリンス」では残機がもりもり減っていきます。溶岩に沈む宮殿とか、「そうきたかー」と膝を叩く仕掛けが沢山。アクション的に言うなら、難易度はやや高目。1ステージで8機死ぬとマリオでおなじみ「おてほんプレイ」をお勧めされるのですが、マリオでは1、2回しか出会わなかったお勧めに、本作ではワールド1からバンバン出会います。でも死ぬのも全然不快じゃない。完全に自分の腕の問題だし、製作者との謎かけで負けた感というか、むしろ楽しいです。

影絵のような演出の夕日ステージは美しく、大波が押し寄せる嵐のステージはぶっちゃけ「超魔界村」なんですが演出が派手になってて楽しい(そして難しい、波の判定ガチ過ぎるだろ)。どのステージにも目新しい何かがあって、もっと先を見たいと思わせます。

それと各ステージクリア後には「タイムアタック」が開放されるのですが、これがまたガチもガチの作りで、1-1からしてどうやっても金メダルに届かない。しかも10秒とか。私は今のところスルーしてますが、これを埋めようと思ったら相当シビアになるんじゃないかなー。


まず勿論アクションとして楽しく、難易度は歯応えがありしかし理不尽ではなく、ドンキーコングシリーズの最新作としても申し分無い。八方隙の無い名作ぶりです。超面白い。

唯一難点を挙げるならば、ローリングが「シェイク操作」なのは誤爆し易いので止めて欲しかったかな。