GarbageCompany

満つらざるとも屈せず

7DAYSクリア

7DAYS TO END WITH YOU、クリア。

 

プレイ時間12時間。

 

本作は…なんだろう、ゲーム性で分類するなら脱出ゲーム寄りになるのかな。ベッドで目覚めた主人公は記憶がなく、自分が誰でここがどこなのか分からない。傍には女性がいて世話を焼いてくれるけど、喋る言葉は分からない。舞台は狭い家の中だけで、外には出られない。自分は7日が経過すると死んでしまう(また初日からやり直し)。女性は何者で、自分に何があったのか?ということを探っていくのがゲーム的な目的になります。

 

本作の特徴は正に「言葉が分からない」こと。女性の言葉や文章の文字は見慣れない記号の羅列で、その意味は全く判別出来ません。しかし「部屋の中のどの本を指してもこの単語が出てくるから、これは『本』だろう」など、その単語の発せられるシーンから推測することは出来ます。単語はリストにまとまっていて、プレイヤーが意味をメモ出来ます。このリストを徐々に埋めていくことで、言葉の意味、会話の内容が推測出来るようになり、話が浮かび上がってくる構造です。

 

凄い言語野を使う感覚で、全く知らない言語の人とコミュニケーションするのとかこんな感じなのかな。中盤辺りで段々リストが埋まってきて、話の輪郭が見えて来た辺りの面白さはかなりのもの。

 

やっていくうちにどうも英語がベースっぽいこと、アルファベットの並びと対応してることが分かってきて、またズルだけどリストの並びからの推測(「朝」と「夜」の間だから、とか)も駆使してリストがほぼ埋まるところまでは間違いなく面白かった。

 

ここからはストーリー面の話。最初に「この物語の解釈は貴方次第で、どう解釈してもそれが正解です」と言われる通り、本作は「プレイヤーに想像して解釈させる」という意図があるよう。なので話にも空白が多く、単語が揃ってもなお一番根っこは語られません。演出として語らないのはいいけど、主人公の背景も全く明かされないため、シナリオの分岐になる単語が全く見当が付かず、やむを得ず攻略情報を参照。攻略を見ると単語は勿論、長文の新聞記事も全部解読されていて、それを全部読んでやっと背景と自身の正体が分かりました。

 

いや、ハッキリ正解があるし、正解をベースに考えないと分からないシナリオじゃん。最終的に「どのように復号するか」まで考えないと読み解けないじゃん。出現頻度が低い単語とか、会話の接続箇所で頻出する言葉(接続詞ではないんですが、ネタバレ気味なのでぼかす)とか、読み解けない、読み間違いを修正できない部分も多く、リストが揃ってから先は私には独力では無理でした。

 

全貌が見えなくても全体から滲み出る不穏さ、エモさは素晴らしく、「正解」を理解してからは更に機微が見えてとても美しい物語でした。ゲーム的にも序盤中盤の言語解析してた辺りは間違いなく面白かった。意図した物だと思うけど、語らな過ぎ、ぼかし過ぎて想像するにもなんとでも想像出来すぎてしまって、結局正解を知らないと物語もゲームも締められないのが勿体無い。でも「これが体験出来てよかった」と思えるゲームでした。